コルクと空気が可能にした、母子を救うアイディア

自動車整備工の夢が、妊産婦と新生児の死亡率低下に役立つかもしれません。その発案とは。
アルゼンチンに住む自動車整備工、Jorge Odon。彼には、途方もない夢がありました。

ワインの瓶の中に入ってしまったコルクを、ビニール袋と空気を利用して取り出す動画を目にしてから、彼は同じ方法を使って出産時の女性と赤ちゃんの命を救えるのではないかと思い至ったのです。Odonは台所で、コルクの取り出し方をさらに改良して実験を始めます。そして、瓶を子宮、人形を胎児に見立て、袋状のけん引器具を製作したのです。分娩第2期(子宮口が完全に開いてから胎児が産まれるまで)で何か異常が起こったとき、胎児を産道からそっと外に出すのに使えるのではないか。Odonはそう確信しました。

発明者のJorge Odon
その確信は当たっていました。Odonが彼自作の単純な器具をアルゼンチンのある産科医に見せると、その後瞬く間に世界保健機関(WHO)の医師たちが活用の可能性を見出したのです。

毎年一千万人もの女性が、妊娠に関連した何らかの重篤な合併症を患います。また、妊娠した女性のおよそ10%が分娩第2期の延長や異常を経験し、速やかに胎児を娩出させるため補助が必要となります。一般的な介助法としては、鉗子分娩、吸引分娩、帝王切開があります。しかし妊産婦および新生児死亡例の多くを占める途上国では帝王切開の環境が必ずしも整っておらず、鉗子や吸引といった現在使われている器具は母子に健康被害を与える恐れがあります。
このような理由から、BDはSaving Lives at Birth: A Grand Challenge for Developmentと連携してBD Odon Device™の開発に注力してきました。

「我々の共通の目標は、画期的な製品を、それらをもっとも必要としている女性や子どもたちに確実に届くようにすること、そして彼らの命を救い、生活を向上させることです」。Saving Lives at Birthの加盟組織Grand Challenges CanadaのCEO、Peter Singer博士はそう語ります。
BD Odon Device™は現在、製品開発の初期段階にあり、安全性と有効性を実証するため、WHOが中心となって臨床試験を行っています。BDは医療機器の設計・製造における自社の中核技術を応用し、命を救う可能性を秘めたこのシンプルな医療器具を開発しています。妊産婦および新生児死亡率が最も高い途上国において、BDはこの器具を入手可能な価格で提供する予定です。


BDのグローバルヘルス・開発部門上級副社長のGary M. Cohenは次のように述べています。「これを見た途端、妊産婦と新生児、両方の死亡率を低下させる可能性のある、有益な製品になると思いました。」。臨床試験が成功すれば、BD Odon Deviceが世界中の市場で発売されるとBDは見込んでいます。

発明者のJorge Odonは、「考案した器具の開発をBDに任せるのは「自分の子どもを大学へやるようなもの。それによって発明品が大きく育ち、私の長年の夢が叶うのです。」と述べています。

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