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血液寒天培地評価プロトコール

1. 血液寒天培地に要求される性能

  1. バランスのとれた発育支持性能:発育した菌種と菌量を元に検体中に存在する細菌叢が予測できること。
  2. A、B、G群の鑑別:正しい溶血性とβ溶血性レンサ球菌の鑑別ができること。
  3. A群連鎖球菌の同定:バシトラシン試験を正確に実施できること。
  4. 肺炎球菌の同定:オプトヒン試験が正確に実施できること。
  5. 同定キットなど酵素活性試験への影響:発育した菌を用いて正確な酵素活性試験が実施できること。
  6. 菌の生存維持(特に肺炎球菌):分離培養後24時間経過した菌でも感受性試験に使用できること。

2.必要な菌株及び試薬

評価菌株
    S. pyogenes ATCC19615(Lancefield’s groupA)
    S. agalactiae ATCC12386(Lancefield’s groupB)
    S. dysgalactiae subsp. equismilis ATCC12394(Lancefield’s groupG)
    S. pneumoniae ATCC49619
    S. aureus ATCC25923
    E. coli ATCC25922

使用培地、試薬等
    各種血液寒天培地
    バシトラシン含有ディスク(タキソA)
    オプトヒン含有ディスク(タキソP)
    滅菌生理食塩水
    BBL CRYSTAL GP
    BD Phoenix(IDブロス、ASTブロス、AST指示薬、SMIC/ID-8パネル)

3.評価試験

1.発育支持力、溶血性試験
(1) 事前に分離培養しておいた評価菌株を用いて、滅菌生理食塩水でMcF0.5の菌液を調整する。
(2) MacF0.5に調整した菌液をさらに滅菌生理食塩水で100倍希釈した菌液の10μLを各培地に画線塗沫する。
(3) 35℃、18~24時間、好気または5%CO2環境下で培養後、コロニーの大きさ、溶血性及び溶血の強さ、コロニーの形状、コロニー臭などを観察、確認し、記録する。
S. pyogenes ATCC19615
β溶血でも血球が残る。溶血環の幅とコロニーサイズがほぼ同じ。
S. agalactiae ATCC12386
β溶血でも血球が残る。溶血環の幅はコロニーサイズより狭い。
S. dysgalactiae subsp. equismilis ATCC12394
強いβ溶血。血球は完全溶血。
S. pneumoniae ATCC49619
α溶血を示し、コロニー中心部が陥没する自己融解が確認できる。

S. aureus ATCC25923、E. coli ATCC25922 ; 良好な発育。

2.バシトラシン試験
(1) 各試験培地にS. pyogenesのコロニーを釣菌し、培地に均一に発育するように塗布する。
(2) 塗布位置の中心にバシトラシン含有ディスク(タキソA)を置いて35℃、18~24時間、5%CO2環境下で培養後、判定する。
【判定】ディスクの周囲に阻止円形成 ⇒ S. pyogenes
3.オプトヒン試験
(1) 各試験培地に、S. pneumoniaeのコロニーを釣菌し、培地に均一に発育するように塗布する。
(2) 塗布位置の中心にオプトヒン含有ディスク(タキソP)を置いて35℃、18~24時間、好気または5%CO2環境下で培養後、判定する。
【判定】ディスクの周囲に14mm以上の阻止円形成 ⇒ S. pneumoniae
4.菌回収試験
本試験では、現在使用している培地を比較対象とする。
(1) 各評価培地で分離培養したS. pneumoniaeを用いて、生理食塩水でMcF0.5の菌液を調整する。
(2) 菌液を10倍段階希釈し、101~107倍の希釈菌液を調整する。
(3) 作成した各希釈液を2μlずつ各培地上の所定の区画に滴下し、18~24時間、5%CO2環境下で培養後、判定する(図.1)。
(4) 各菌濃度における発育度について、対象とした培地と比較して、回収率が同等、もしくはそれ以上、それ以下であることを記録する。コロニー数が計数可能な場合はそれも記録する。

図.1
5.酵素活性の比較試験(生化学的性状への影響の確認)
a) BD BBL CRYSTAL使用施設;各評価培地に発育したS. pyogenesをBBL CRYSTAL GPを用い、添付文書に従って同定を行う。
b) BD Phoenix使用施設;各評価培地に発育したS. pneumoniaeをPhoenixを用いてQC試験を実施する。
【判定】
a) BD BBL CRYSTAL使用施設; 正しく同定されたかどうかを確認し、それぞれの酵素活性の結果とBD BBL CRYSTAL GPの添付文書に記載されている表4.同定検査試薬用品質管理菌株の結果表と基質の反応を比較する。
b) BD Phoenix使用施設;QC試験の合否を確認する。