2-2. インフルエンザ

監修: 岡部信彦 先生
(国立感染症研究所 感染症情報センター センター長)

甘くみないで!インフルエンザ

冬になると良く耳にするのが「インフルエンザ」です。「インフルエンザ」はインフルエンザウイルスによっておこる感染症で、原因となるウイルスはA型、B型、C型の3種類があり、特にA型とB型が流行します。

その感染力の強さから学校で集団感染し、合併症による幼児や高齢者の死亡例もあり、単に「かぜ」とかたづけられない注意すべきウイルス感染症です。この冬は、症状が似ている「SARS」との同時発生も心配されています。
グラフ1:インフルエンザは1月から2月に集中
グラフ1:インフルエンザの流行(過去10年間の平均)
※インフルエンザ様疾患平均定点当たり報告数

インフルエンザの症状をチェック

Check!
たかが「かぜ」といえない「インフルエンザ」。お医者さんへ行く時の判断はどうしたらいいでしょう。 「インフルエンザ」の特徴的な症状を知っておき、以下のチェック項目に多くあてはまる症状がみられた場合は、早めに医師の診察を受けましょう。
イラスト:インフルエンザの症状
□ 急な発熱(他の症状よりも先に)

□ 38度以上の発熱と悪寒

□ 関節や筋肉が痛い

□ 倦怠感や疲労感がある

□ 寝込んでしまうほど辛い

□ 頭痛がする

□ せきや鼻みずの症状が次第に強くなる

症状が出てから48時間以内に受診しましょう

上記のような症状がある、特に高齢者や幼児の場合は、早めに医師の診察を受けましょう。鼻やのどから粘液を採取し、インフルエンザウイルスのA型かB型かをその場で判定できる検査もあります(迅速検査キット)。

つい最近A型のみに効果のある薬が使用されるようになりましたが、さらに最近ではA型にもB型にも効く抗インフルエンザ薬が広く使用できるようになりました。この薬は、インフルエンザウイルスの増殖を抑える効果があります(図1)。したがって、薬の使用が早ければ早いほど効果があります。発熱などの症状が出てから48時間以内に抗ウイルス薬を服用すると症状が早く改善されます。この薬の使用には医師による処方が必要です。ただし、薬の効果を過信せず、安静にして無理をしないことも大切です。

また、この冬は「インフルエンザ」と同じような症状である「SARS」の同時発生が懸念されており、インフルエンザウイルスの鑑別を迅速に行うことが大変意義があるといわれています。
図1
図1:インフルエンザウイルスの増殖と抗インフルエンザ薬
グラフ2
グラフ2:抗インフルエンザ薬の投薬開始時間と投薬後の解熱症例比率との関係
グラフ3
グラフ3:インフルエンザ発症後48時間以内の乳幼児における抗インフルエンザウイルス薬の解熱効果

予防が一番

薬があるからといっても、「インフルエンザ」にはかからないのが一番です。ワクチン接種で感染の防止と重症化を防ぐことができます。特に高齢の方や感染症になると重症化する基礎疾患(慢性呼吸器疾患や糖尿病など)をお持ちの方はかかっても症状を軽くする効果を期待できるので、毎年流行前にはワクチンの接種をお奨めします。
グラフ4
グラフ4:死亡者数の比較(65歳以上) 予防接種を受けていない人 VS 受けている人
イラスト:予防接種

ワクチンの接種にあたって

極めてまれですが、副反応が起こることがありますので、接種にあたっては医師と十分相談しましょう。

インフルエンザ予防のポイント

  • 流行前にワクチンを接種しましょう
  • 飛沫感染するので流行期は人ごみを避けましょう
  • 外から帰ったら、うがい、手洗いをしましょう
  • 岡部先生からのお話のまとめ

    国立感染症研究所・感染症情報センター・センター長
    • 最近では抗ウイルス薬が処方されるようになりましたが、まずは予防することが大切です。
    • 「インフルエンザ」は飛沫感染や接触感染によって人から人へうつり、感染力が強いことが特徴です。小さいお子さんや高齢者のいるご家庭では、インフルエンザウイルスを持ち込む可能性のある人もいっしょにワクチンの接種を受けるとよいでしょう。
    • 「インフルエンザ」のワクチンによる抗体の持続時間は長くなく、1シーズンしかもたないので毎年接種する必要があります。
    • 急な発熱がみられ、「インフルエンザ」にかかったと感じた場合は、早目に受診して治療を受けましょう。
    • 感染初期に抗ウイルス薬を使用すると効果が高いので、迅速な検査や診断が望まれています。特に、高齢者は症状をがまんしないで早めに受診し、また小さいお子さんの様子をよくみて、普段から顔色や食欲などの変化に注意しましょう。