第08回 親指さんさよなら大作戦(指しゃぶりとの戦い)

いつものシリーズとは別に、役に立つかもしれないなあという経験をサイドストーリーとして載せてもらうことにしました。

子供の指しゃぶりは、1歳半くらいまではまあまだ赤ちゃんだからと余裕を持って見ていられるものですが、さすがに歩いたり走ったり遊んだりしている間にも指しゃぶりをしていると、親として気になるものです。うちの子供も1歳半を過ぎているのに、眠前だけでなく昼間に指しゃぶりをしていたので、どうしたら親指さんとさよならできるか、いろいろと調べてみました。ネットで見ても、「6歳になってもしている子供はいないし精神安定にいいから黙ってみていれば良い」というコメントがある一方で、歯科医の立場から「指しゃぶりは不正交合を引き起こすので3歳くらいにはやめさせたほうが良い」云々といったコメントがあり、また恐ろしげな器具の写真を載せているサイトもありました。ただ、これといった解決策を提示しているものはなかなかありませんでした。
これはもう、なるようになるしか無いのかなあとあきらめかけた頃、電車の中で5歳くらいの男の子が今にも眠りそうになっていて、彼の左の親指が半開きになっている口を探して空中をさまよい漂っている姿を目にしてしまい、「うちの子がああなったらみっともない!」と感じてしまいました。(自分の子供の指しゃぶりが恥ずかしいのは親の見得?)


さらに、我が家のもうひとりの子供が数人のおとなを相手にはしゃぎまくっている一方で、ひとりぺたんと座り背を丸くして親指をしゃぶりながらTVをボーっと見ている我が子を見たとき・・・。これは何とかしないと「おとなしいから」と放っておかれてはたまらないという気持ちになりました。(子供の発達に悪い)


極めつけは、この冬鼻風邪をひいて受診した病院から感染性腸炎をもらってきたようで、指しゃぶりをする子が最も早く強い嘔吐・下痢症状を起こし、ついでに家族と世話をしてくださっている人全員に二次感染させたという事実があって(医学的にも問題だ!)、これはやっぱり真剣に「親指さよなら大作戦」にとりくまねばと決意しました。決意はしたものの、決定打となるような「作戦」は思いつかず、周囲には「いざとなったら辛子があるわよ。」と強がりを言ってみたものの、実行に移す勇気もなく・・・ところが、偶然、ちょっとしたきっかけで、指しゃぶりを無くすことができました。


子供によって発達度、いわゆるReadiness(あることを行うのに準備ができている状態)の度合いはさまざまなので、全ての子供達に有効な方法は無いとはいえ、ネットなどで見たり聞いたりした「うまくいった話」と、うちの子供に2歳2ヶ月の時点で有効だった方法をご紹介しようと思います。

うまくさよならできた例 (聞いた話とネットに載っている実現可能そうな話)

  1. 歯医者さんに「やめないと歯が悪くなるよ。」と言われてやめた。
  2. 第三者である親しいおじさんに、(解剖学的には特に問題ないが、やや短めの親指を見せられて)「あんまりしゃぶってると、おじさんみたいに親指短くなっちゃうよ。」と言われてやめた。
  3. 親指に別人格を与え、「悪い親指さん、もう○○ちゃんのお口に入っちゃいけません。」と怒り、パチンとたたき、本人にも「親指さん、もう入らないでね。」と言わせたらやめた。

うちの子供に効かなかった例

  1. 口内炎ができて、指を入れると痛かった時、眠前も指しゃぶりをせずに寝たので、このまま続くかと期待した。(口内炎が治ったら元通り)

  2. 上記2.のおじさんに、同じように言ってもらった(無効)
  3. 上記3.(親指さんを悪者に仕立てる戦略)を1歳10ヶ月のときにした(数時間のみ有効、ちょっと早かったか?)

  4. 3.を何度か行いつつ、同時にミッキーマウスやプーさんのバンソウコウを親指に巻いて、親指さんが入らないように守ってもらった(結局自分でバンソウコウをとってぱっくん)

  5. 指しゃぶりをしている姿を鏡で見せてみた(その場でははずしたが、根本的解決策にはならず。イジワルに近いので、私自身も胸が痛んだ。)

  6. もうひとりの子供(指しゃぶりはしない)が、からかって本人の目の前で指しゃぶりのまねをした。(大人が裏で糸を引いていたわけではないが無効)

  7. まわりの大人が「もうお姉ちゃんなんだからやめなさい。」と言い聞かせた(これは逆効果と思っていたので私自身はしなかったが、やっぱり逆効果だった)

  8. 「ここが痛いの」といって、いつも指しゃぶりをする左の親指と手に包帯を巻いて欲しいとせがむので、巻いてあげた。(そのまま寝そうだったのでしめしめと思ったが、右の親指がしっかりお口に入っていった。)

親指さよなら大?作戦

1歳半ごろから、上記のようにいろいろと試してみましたが、これといって有効なものはなく、前述のように「親指さよなら大作戦」実行の決意はしたもののこれといった作戦も考えつかず膠着状態にあったある日、何気なく娘の親指さんを手にして、
「ねえ、親指さん、まあちゃんはもうずいぶんお姉さんになったのに、親指さんがお口に入るから赤ちゃんに見えちゃうのよ。もう入らないでくれないかしら?」と頼んでみました。
すると、娘は親指を見つめ、もう一方の手で親指をなでて、「いいこ、いいこ」と言います。(あっ!そうか、親指も自分の一部なんだから「いいこ」の方がいいはず。)すかさず、彼女の親指をなでなでしながら
「そうね、親指さん、いいこだからまあちゃんのお口には入らないでください。お願いします。」とさらに頼みました。
「まあちゃんも、お口にもう入らないでねって頼んでごらん。」
「いいこ、いいこ、もうはいらないでね。」
・・・
そして、その夜から、寝る前でも親指さんは彼女の口には入らず、私も夜中に「ちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱ・・・・」という音で目を覚ますことは無くなりました。「さよなら大作戦」というほどの興奮もなく、気が抜けるような顛末でした。

親指さんとさよならして変わったこと

  1. 寝る前にやたらと興奮するようになり、おんぶをせがむようになった。(精神安定作用が少なくなったせいか。)

  2. 寝る前に時々「こわいの」と言うようになった。「何が怖いの?」と聞くと、電話機についているLEDの光や、ドアが怖いと言っていた。(以前は、なんとなく怖いと思っていたのに親指さんにすがって眠っていたのかしら。)

  3. 寝る前に「もみもみ」といって、マッサージをせがむようになった。(リラックスする助けになるのだろうと思うのでせっせとしてやっている。)

  4. 夜中に起きてミルクをせがむことがある。(ミルクと言うより哺乳瓶が恋しいらしい。でも、抱っこするとまた眠ってしまうことが多い。)

  5. よりいっそう話すようになり、遊びにもより集中するようになった。

  6. 転びにくくなった。(あたりまえ?)

  7. 唇が乾燥していると特に気になるらしい。(せっせとリップクリームを塗ってやっている)

  8. 親指にできていた鏡餅のような性状の「たこ」は、約1ヶ月できれいに無くなった。
寝る前には、指しゃぶりのほかに、もともと耳たぶを触ったり頬を触ったりするくせがありましたが、これらのくせはそのまま続いています。(こちらのほうは実害がないし、三叉神経(顔の触覚を司る)を刺激するとリラックスする効果があるので、特にやめさせたりする必要は無いと思っています。)
今回うまくさよならできたのは、いくつかの要素があるように思いました。

  1. Readinessがあった − お姉ちゃんになりたいという気持ちが芽生えてきて、赤ちゃんとは違う、赤ちゃんのようにふるまうのはちょっと恥ずかしいと思い始めた時だったのでタイミングが良かったと思います。

    「期待される行動をとりたい」という気持ちが芽生えてきていた。子供に「○ちゃんのおもちゃをとってはいけません!」というと返してくれませんが、○ちゃんに「△ちゃんはやさしいから、ちゃんと返してくれるよ。」と言うと、△ちゃんはその通りにしてくれますよね。こういった行動が見られ始めた時期だったので、うまくいったのかもしれません。

  2. 親指に別人格を与え、以前のネガティブな行動は、別人格が行ったことにして、自分の人格を傷つけないようにしたのも、良かったと思います。この点は、ネットでも何件か同様のコメントが載っていたので、有効な要素ではないかと思います。
  3. 自己にポジティブイメージを与えた − Readinessの部分と関連していますが、自分の一部を「いいこ」にして、「いいこがとるべき行動」を自分の一部である親指に期待したのも良かったのではないかと思います。


指しゃぶりは、気になりだすとますます気になる、ひいては気に触るようになってしまうものですが、今回の私たちの経験が解決にむけて何らかの役に立てば幸いです。

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